80歳の「傘寿(さんじゅ)」をお祝いするとき、「テーマカラーは紫」と聞く人もいれば「いや、黄色でしょう」と言う人もいて迷ってしまうことはありませんか? 実は、傘寿の伝統色には紫と黄色の両方の説があり、どちらも間違いではありません。本記事では、傘寿のテーマカラーが紫と黄色どちらなのか、その理由と歴史的背景をひも解きます。さらに、傘寿を含む長寿祝い(還暦・古希・喜寿・傘寿・米寿・卒寿・白寿・百寿)のそれぞれのテーマカラーと、その色に込められた意味や由来をご紹介します。最後に、傘寿祝いでテーマカラーを服装や贈り物、装飾に取り入れるアイデアも提案します。長寿のお祝いについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてくださいね。
傘寿のお祝いカラーは紫?それとも黄色?
結論から言えば、傘寿(80歳)のお祝いカラーは「黄色系」が一般的ですが、紫色を用いる場合もあります。もともと長寿祝いにはそれぞれ伝統的なテーマカラーが決まっています。還暦の赤は有名ですが、それ以降の長寿祝いにも順にテーマカラーがあるのです。傘寿の場合、現在では幸せや高貴さを象徴する黄色や金茶色をテーマカラーにするのが主流です。一方で、地域やご家庭によっては紫色をテーマカラーに選ぶこともあります。
では、なぜ黄色が傘寿の色とされるのでしょうか。その理由の一つは、黄色が太陽の色であり古くから縁起のよい幸福の色と考えられてきたためです。中国では黄色は皇帝だけが身につけることを許された尊い色で、五行思想では「土」を表します。大地や太陽の恵みに通じる明るい黄色は、80年という実りある人生を歩んできた傘寿のお祝いにふさわしい色といえます。また**黄色は紫とともに古来「高貴な色」**とされており、長寿を迎えた方への敬意を示す意味合いもあります。
一方、紫色も長寿祝いでは伝統的に使われてきた高貴な色です。特に77歳の喜寿で紫色のちゃんちゃんこ(袖なし羽織)を贈る風習があるため、傘寿でも引き続き紫を用いる説があるのです。紫は昔、位の高い人だけが身につけられた格式高い色であり、心身を癒やす効果も持つとされています。「傘寿もやっぱり紫でお祝いしたい」というご家庭があるのも納得ですね。ただし、喜寿で既に紫をテーマカラーにしていることから、傘寿では紫よりも黄色のほうが喜ばれる傾向にあります。どちらを選んでも大きな間違いではありませんので、主役となるご本人の好みや、家族の意向に合わせて決めるとよいでしょう。
長寿祝いのテーマカラーと由来一覧
では、還暦から百寿までの長寿祝いの名称とテーマカラーにはどのようなものがあるのか、それぞれ見ていきましょう。それぞれの名前には漢字にまつわる由来があり、お祝い色にもちゃんと意味があります。長寿祝いは全部で8つ(傘寿を含める)もありますので、豆知識としてぜひ覚えてみてください。
還暦(かんれき)— 60歳の赤
還暦(60歳)は長寿祝いの最初の節目で、テーマカラーは赤色です。還暦とは**「暦が還る(もどる)」という意味で、干支が一巡し出生年の干支に戻ることからこう呼ばれます。人生の暦が一回りして赤ちゃんに戻るとも言われ、健康に生まれ変わる再出発を祝うという意味合いがあります。そのため、魔除けの力がある赤いちゃんちゃんこや頭巾**を贈る風習が定着しました。赤には邪気を払う力があると信じられており、還暦祝いに赤い衣装を身につけるのは「これからも元気に長生きしてほしい」という願いが込められているのです。
古希(こき)— 70歳の紫
古希(70歳)のテーマカラーは紫色です。古希の由来は、中国の詩人・杜甫が詠んだ「人生七十年古来稀なり」という漢詩の一節です。昔は70歳まで生きる人は本当に稀(まれ)だったことから、70歳を迎えること自体が大変めでたいとされました。紫は古来より特別な高貴な色として認識され、位の高い人だけが身につけられた色です。その歴史から、長寿への敬意を表す色として古希祝いに用いられるようになりました。紫には気品や優雅さのイメージもあり、大切なおじいちゃん・おばあちゃんの古希を尊敬の念をもってお祝いするのにぴったりですね。
喜寿(きじゅ)— 77歳の紫
喜寿(77歳)も紫色がお祝いカラーです。喜寿は日本発祥のお祝いで、その名は「喜」という漢字に由来します。「喜」を草書体で書くと「㐂」のような字形になり、これが七十七と読めることから77歳のお祝いを「喜寿」と呼ぶようになりました。喜寿祝いでは古希と同じく紫色のちゃんちゃんこや帽子を贈るのが伝統的です。紫には先述のように高貴さと癒やしの意味があり、「喜寿を迎えてもなお元気でいてほしい」という願いが込められています。
傘寿(さんじゅ)— 80歳の黄(または紫)
傘寿(80歳)は、テーマカラーが黄色(または金茶色)で祝うのが一般的ですが、前述の通り紫色の場合もあります。傘寿の名前の由来は漢字の「傘」にあります。この字を略字で書くと「仐」ですが、その上部分がちょうど八十と読めることから80歳のお祝いを傘寿と呼ぶようになりました。黄色をテーマカラーにする理由は、稲穂の黄金色や太陽の光を連想させることからとも言われます。実り豊かな人生への敬意と、「これからも明るく朗らかに過ごしてほしい」という願いを込めて、傘寿には明るい黄色の贈り物や装いでお祝いする方が多いのです。ただし、ご家族の意向や地域の習わしによっては紫色のちゃんちゃんこを用意することもあります。紫もまた高貴な色ですから、どちらを選んでも気持ちがこもっていれば大丈夫ですよ。
米寿(べいじゅ)— 88歳の黄(黄金色)
米寿(88歳)のテーマカラーは黄色や金色(黄金色)です。米寿も漢字の「米」が由来で、「米」の字をバラバラに分解すると八十八になることから88歳のお祝いを米寿と呼びます。昔から88歳は「米の祝い」とも言われ、稲穂が実る黄金色にちなんで黄色いちゃんちゃんこや帽子を贈る習慣があります。黄金色は豊かな収穫や富を連想させ、米寿を迎えるほど実りある人生を重ねてこられたことへの敬意が込められているのでしょう。華やかな金茶色はお祝いの席も明るく彩ってくれるため、米寿のお祝いにはぜひ取り入れたい色ですね。
卒寿(そつじゅ)— 90歳の白(または紫)
卒寿(90歳)のテーマカラーは白色が定番ですが、紫色を選ぶ場合もあります。卒寿は「卒」の略字である「卆」が九十と読めることに由来しています。「卒」の字そのものに色の意味はありませんが、長寿祝いの色として白色が用いられるようになりました。白は「純粋・無垢」「神聖」といった意味合いを持つ特別な色であり、長生きされた方の清らかな人生や長寿そのものを尊ぶ気持ちを表しています。また一方で、90歳でも紫のちゃんちゃんこを選ぶケースがあります。これは「卒寿=白」という決まりが厳密にあるわけではなく、地域やご家庭の考え方で敬意の象徴である紫**を着てもらうこともあるということです。いずれにせよ、卒寿を迎えられる方への感謝と尊敬の気持ちを込めて、お好きな色でお祝いしてあげると良いでしょう。
白寿(はくじゅ)— 99歳の白
白寿(99歳)はその名のとおり白色でお祝いします。白寿の由来は漢字の「百」にあります。百という字から一画を取る(100から1を引く)と「白」という字になることから、99歳を白寿と呼ぶようになりました。別名「白字の祝い」とも言われるように、白寿では白いちゃんちゃんこや頭巾を贈る地域もあります。白は先述のように清浄で神聖な色です。百寿目前という大変めでたい節目に、純白の衣装で長寿を祝う様子はご本人だけでなく周囲にとっても尊く映ることでしょう。
百寿(ひゃくじゅ/ももじゅ)— 100歳の白または桃色
百寿(100歳)は「紀寿(きじゅ)」とも呼ばれ、100年=一世紀を生きたことにちなむお祝いです。百寿のテーマカラーは白色が基本ですが、近年では桃色(ピンク)でお祝いすることも増えています。というのも、「百」は「もも」とも読めるため100歳のお祝いを「ももじゅ(百寿)」と洒落て読むことがあり、桃の花のようなピンク色をテーマカラーにするアイデアが生まれたのです。実際、百寿祝い用の桃色ちゃんちゃんこや帽子を販売しているお店もあります。淡いピンクは肌なじみもよく写真映えするので、100歳の明るい笑顔にぴったりですね。もちろん白寿同様に白い衣装や小物で祝っても構いません。いずれにしても、百寿を迎える方の人生を称え、周囲も明るい気持ちになれる色を選んでお祝いしましょう。
傘寿祝いにテーマカラーを取り入れるアイデア
それでは最後に、傘寿のお祝いでテーマカラー(黄色 or 紫)を上手に活かすコツをご紹介します。傘寿の主役であるおじいちゃん・おばあちゃんに心から喜んでもらえるよう、服装やプレゼント、パーティーの飾り付けに工夫を凝らしてみましょう。
服装に取り入れる: 傘寿の主役にテーマカラーのファッションアイテムを身につけてもらいましょう。伝統的にはちゃんちゃんこを贈ることもありますが、抵抗がある場合はストールや帽子、ネクタイなど普段使いできる小物がおすすめです。例えば黄色であれば明るいスカーフやハンカチ、紫であれば上品なショールやネクタイなど、さりげなくテーマカラーを纏えるアイテムを選ぶと喜ばれます。「傘寿」の文字や名前を刺繍したオリジナルグッズにしても記念になりますね。
贈り物に取り入れる: プレゼント選びに迷ったときは、テーマカラーを取り入れた贈り物を選ぶのが喜ばれるコツです。例えば傘寿の「傘」にちなみ、上質な晴雨兼用傘を贈るのもユニークです(傘寿=傘の贈り物は定番のアイデアです)。その際、持ち手や生地に黄色や紫があしらわれたデザインを選ぶとテーマカラーもばっちりです。ほかにもテーマカラーの花束やプリザーブドフラワーは定番ながら華やかなプレゼントになります。黄色ならヒマワリやバラのブーケ、紫なら蘭やカーネーションなどを選んでみてはいかがでしょうか。また、黄色や紫の包装紙やリボンでラッピングするだけでも特別感が出ます。贈り物そのものは相手の好みに合わせつつ、カラーコーディネートで長寿のお祝いらしさを演出しましょう。
装飾に取り入れる: ご自宅や会場でお祝いをするなら、パーティーの飾り付けにもテーマカラーを散りばめましょう。例えば、テーブルクロスや紙皿を黄色系で統一したり、紫色の風船やガーランドでお部屋をデコレーションしたりすると、一目で傘寿のお祝いとわかる雰囲気になります。ケーキを用意する場合は、生クリームを淡い黄色に着色してみたり、紫色のフルーツ(ブルーベリーや葡萄)をトッピングするのもおすすめです。紙飾りやメッセージカードをテーマカラーで手作りしてみんなでお祝いの言葉を書けば、心温まる演出になりますよ。ポイントは統一感を出しすぎず、アクセントとしてカラーを配置すること。黄色と紫は相性が良い補色関係なので、二色をバランスよく使っても素敵です。
傘寿をはじめとした長寿祝いは、ご本人と家族・親族みんなが笑顔になれる温かい行事です。テーマカラーの由来を知るとお祝いがさらに特別なものに感じられますね。大切な長寿のお祝いには、ぜひ色の持つパワーを活用して、心に残る演出をしてみてください。ご家族揃ってのお祝いで、これからもますます健やかに長生きしていただけるよう願っています。