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なぜ80歳を「傘寿」と呼ぶのか?漢字に秘められた長寿祝いの秘密

この記事を書いた人
板羽 貴代
お祝いギフト工房 店長

名前入りプレゼント専門店「お祝いギフト工房」の店長です。 2002年からギフトの世界に携わっています。 これまで9万人以上の方のお祝いのお手伝いをさせていただきました。 喜ばれるお祝いに関してはどうぞお任せください。 悩まれたらお気軽にご相談ください! 050-3566-4118 LINEで問い合わせ

傘寿とは何歳のお祝い?

傘寿(さんじゅ)とは、人生の節目となる80歳を祝う長寿祝いのことです。日本には、傘寿のほかにも還暦(60歳)、古希(70歳)、喜寿(77歳)など様々な長寿祝いがあり、いずれも長生きをお祝いし感謝を伝える伝統行事です​。傘寿の後も、米寿(88歳)、卒寿(90歳)、白寿(99歳)、百寿(100歳)といったお祝いが続きます​。長寿のお祝いは、本人のこれまでの歩みに感謝し、これからの健康と長生きを願う絶好の機会となっています。

現代では平均寿命が伸びているため、かつてより長寿祝いを行う年齢の感覚も変化しています。昔は数え年61歳の還暦からお祝いを始めるのが一般的でしたが、現在では「まだ60歳は若い」という印象もあり、70歳の古希から祝うケースも増えています​。それでも、80歳の傘寿は人生80年の節目として特に重みのあるお祝いで、多くの家族が盛大にお祝いをしています。

「傘寿」の語源と漢字の成り立ち

80歳のお祝いが「傘寿」と呼ばれる由来は、その漢字に秘密があります。漢字の「傘」をよく見ると、「八」と「十」を組み合わせたような形をしています。実際、傘という字を崩した略字(「仐」)は漢数字の「八十」を縦に書いたような形になり、「80」を表しているのです​。このように「傘」の字から八十=80を読み取れることから、80歳の長寿祝いを「傘寿」と名付けたとされています​。漢字の形を活かした美しい言葉遊びであり、文字文化が豊かな日本ならではの命名と言えるでしょう​。

さらに、「八」という数字にもおめでたい意味が込められています。「八」の字は末広がり(下に行くほど両端に広がる形)をしており、古来より末広がり=将来が広がっていく縁起の良い数字とされてきました​。傘も開くと末広がりの形になるため、傘寿という名前には「これから先もますます豊かに広がる人生になりますように」という願いも重ねられているのです。漢字の成り立ちに着目した由来と、末広がりの吉兆が合わさり、傘寿は長寿祝いの中でも特におめでたい意味合いを持つ祝い名となっています。

長寿祝いの歴史的背景と文化的意味

日本における長寿祝いの起源は古く、その始まりは中国の敬老思想にさかのぼります。中国では長寿を尊び、唐末から宋代にかけて老人に長寿を祝う詩を贈る風習が生まれました。これが奈良時代頃に日本に伝わり、貴族の間で長寿祝い(年祝い)の習慣が広まったとされています​。当初は数え年で40歳を超えたあたりから、10年ごとに「◯◯の賀」(例:四十の賀、五十の賀)と称して節目節目を祝っていました​。

室町時代の末頃になると、長寿祝いに現在のような名称が生まれ始めます。例えば60歳を「還暦」、70歳を「古希」といった呼び名が使われるようになり​、その後の年代でも「喜寿」「傘寿」「米寿」など漢字に由来するユニークな名称が次々と考案されました。江戸時代には、こうした長寿祝いの習慣が庶民にも広がり、盛んに行われるようになります​。長寿祝いは、年長者の長生きを家族や周囲で喜び、敬意を表す日本文化の一つとして定着していきました。

歴史的に見ると、かつては平均寿命が非常に短かったため、60歳や70歳まで生きること自体が稀でした。戦前までの日本では平均寿命が50歳にも満たなかったとされ、60歳まで健在でいるだけでも「大往生」と言われたほどです​。そのため還暦や傘寿といった長寿の節目を迎えることは、一族にとって一大祝事であり、盛大にお祝いが行われました。長寿の人が持つ豊富な知識や経験は貴重で尊ばれ、家族・社会にとっての財産と考えられたのです。

一方で現代は医療の発達などにより寿命が延び、80歳を迎えることも決して珍しくはなくなりました。しかし、その分長寿祝いの持つ「感謝」の意味合いがより深まっているとも言えます。長寿祝いは単に年齢を祝うだけでなく、長生きしてくれたことへの感謝や、これからも元気でいてほしいという願いを伝える大切な機会です​。家族や親しい人が集い、お年寄りのこれまでの人生に敬意を払い、知恵や思い出を共有することで、世代間の絆も深まります​。傘寿も、そうした温かい文化的意義を持つお祝いの一つなのです。

他の長寿祝い(還暦・古希・喜寿・米寿など)との違い

傘寿以外にも、日本にはさまざまな長寿祝いが存在します。それぞれ由来となった言葉や漢字の意味が異なり、またテーマカラーなどの習慣にも違いがあります。ここでは主な長寿祝いについて、その名前の由来と特徴を簡単にご紹介します。

還暦(かんれき)60歳のお祝い。干支(十干十二支)が60年で一巡し、生まれ年の干支に戻ることから「暦が還る」という意味で還暦と呼ばれます​。人生が一回りして赤子に還るとも言われるため、還暦では赤いちゃんちゃんこ(袖なしの羽織)を着せて祝う風習があります​。テーマカラーもです。

古希(こき)70歳のお祝い。中国の詩人・杜甫の詩にある「人生七十古来稀なり」という有名な一節に由来します​。昔は「70歳まで生きる人は古来まれである」という意味で、稀(まれ)を「希」と表記して古希と名付けました​。古希のテーマカラーは高貴な紫色とされています​。

喜寿(きじゅ)77歳のお祝い。「喜」という漢字を草書体で崩すと「七十七」に見えることから、このように呼ばれます​。室町時代の日本で生まれた漢字遊び由来の長寿祝いであり、以降の傘寿・米寿なども同様に漢字の形にちなんで名付けられました。喜寿のテーマカラーも古希と同じく紫色です​。

傘寿(さんじゅ)80歳のお祝い。「傘」の漢字を簡略化すると「八十」(=80)に見えることから傘寿と呼ばれます​。還暦や古希が中国由来なのに対し、傘寿は日本独自の発想による祝い名です。テーマカラーは黄色・金茶色(黄金色)で、古希・喜寿で紫が続いたあと節目の色を変えて祝うことが多くなっています​。

米寿(べいじゅ)88歳のお祝い。「米」という字を分解すると「八十八」に見えることから名付けられました​。漢字を分解するとちょうど八十八=88になるユニークな例です。米寿のテーマカラーは黄金色(黄色)で、傘寿と同様に長寿を表す明るい色でお祝いします​。

卒寿(そつじゅ)90歳のお祝い。「卒」の略字である「卆」という字は、「九十」という数字を含んでいるように見えます​。このことから90歳を卒寿と呼んで祝う習慣が生まれました。卒寿のテーマカラーは紫色です​。

白寿(はくじゅ)99歳のお祝い。「百」という字から一画(一=1)を引くと「白」になることにちなみ、99歳は白寿と呼ばれます​。100歳目前で百から一を引くという語呂合わせ的な発想です。白寿のテーマカラーは文字通り白色で、お年寄りの長寿を清らかな色で祝います​。

百寿(ひゃくじゅ)/紀寿(きじゅ) – 100歳のお祝い。百寿はその名の通り100歳、「紀寿」は一世紀(100年)を生きたことに由来する呼び名です​。百寿のテーマカラーは白色か桃色とされます​。100歳ともなるとまさに人生の偉業であり、盛大かつ尊敬を込めて祝われる節目となります。

以上のように、還暦と古希は中国由来の思想や文学から名付けられていますが、喜寿以降の賀寿(がじゅ)の多くは漢字の形を崩した読み替えによる日本ならではの命名です​。傘寿もその一つであり、「傘」の文字から80という数字を見出す遊び心が光る長寿祝いと言えるでしょう。また、それぞれの長寿祝いにはテーマカラーが定められており、還暦の赤、古希・喜寿の紫、傘寿・米寿の黄色、白寿の白といったように、節目ごとに異なる色でお祝いする習慣も特徴的です​。

★豆知識:傘寿は還暦(60歳)から20年目の節目でもあります。20歳は「成人式」を迎える年齢ですが、60歳+20年で80歳となることから、傘寿は「人生で二度目の成人」に例えられることもあります​。長寿を重ねて再び大人になったようだ、というユニークな見立てですね。

傘寿のお祝いの習慣・風習

80歳の傘寿を迎えた方には、家族や親族が心を込めてお祝いをします。そのお祝いの仕方にはいくつかの共通した習慣・風習があります。

◼︎ 家族・親族での祝宴: 傘寿のお祝いは、誕生日に合わせて親しい家族や親族が集まり食事会を開くのが一般的です​。自宅や料亭・レストランなどでお祝い膳を囲み、みんなで長寿を祝福します。日程は必ずしも誕生日当日でなくても構いません。主役である80歳の方の体調や都合を最優先に、皆が集まりやすい日を選んで開催します​。あまり大げさな席は遠慮される方もいるので、ご本人の希望に配慮しつつ和やかな雰囲気で行うことが大切です​。当日は記念写真を撮ったり、思い出話に花を咲かせたりして、これまでの歩みをねぎらう場にすると良いでしょう​。

◼︎ テーマカラーのちゃんちゃんこ・贈り物: 長寿祝いではそれぞれ決まったテーマカラーの衣装や贈り物でお祝いする風習があります。傘寿の場合、テーマカラーは黄色・金茶色(ゴールド系)です​。お祝い当日には、主役に黄色のちゃんちゃんこ(袖なし羽織)や帽子を着用してもらうことがよく行われます​。これは長寿祝いの記念写真にも映え、80歳という特別な節目を視覚的にもわかりやすく演出してくれます。ちゃんちゃんこ以外にも、テーマカラーにちなむ品を贈ると喜ばれる傾向があります​。例えば、傘寿のイメージカラーである黄色い花束(バラやヒマワリなど)をプレゼントしたり、金色に輝くちゃんちゃんこや座布団を用意するといった工夫です​。古希・喜寿が紫色だったのに対し、傘寿では明るい黄色を用いるため、会場の雰囲気も一段と華やぎます。「金色のちゃんちゃんこ」は傘寿ならではの風物詩と言えるでしょう​。

◼︎ 心のこもった演出: 傘寿のお祝いでは、何より主役であるお年寄りへの敬意と感謝の気持ちを形に表すことが大切です。お祝いの席で家族から感謝の手紙を読んだり、これまでの思い出写真を集めたアルバムやスライドショーを用意するなど、心温まる演出が喜ばれます。プレゼントも高価なものより心がこもったものが好まれる傾向にあります。趣味に関連した品物や、名前入りの記念品(例:傘寿祝いの記念盾や似顔絵、オリジナルの詩など)も世界に一つだけの贈り物として人気です。地方によっては、傘寿を迎えた方へ記念に傘を贈る習慣もあります。「傘寿」の文字にちなんで傘を贈り、これからの人生の雨露を防ぎ健やかにとの願いを込める意味合いです。ユーモアと実用を兼ねた贈り物として喜ばれることでしょう。

◼︎ 長寿を祝うマナー: 傘寿のお祝いに限らず、長寿祝いではいくつかのマナーや気遣いがあります。まず、主役の体調に十分配慮し、無理のない範囲で進行すること。食事内容や会場設備も高齢の方に優しいものにする心遣いが大切です。また、スピーチや会話の中で避けたい言葉(いわゆる忌み言葉)にも注意します。例えば「老いる」「死ぬ」などネガティブな表現は避け、ポジティブな言葉で長寿を称えるようにします​。お祝いの席では赤や黒一色の包装や花も不祝儀を連想させることから避け、代わりに明るい色合いでまとめると良いでしょう。傘寿のテーマカラーである黄色や金色はまさに明るく希望に満ちた色ですので、お花やインテリアに取り入れると喜ばれます。

最後に、傘寿のお祝いは「80年もの長きにわたり生きてきてくれてありがとう」という感謝を伝える場でもあります。これまで支えてくれた家族へのお礼や、周囲からの「これからもお元気でいてください」というメッセージが飛び交う、温かい時間となるでしょう。傘寿という名前の由来に思いを馳せながら、傘のように大きく広がるこれからの人生を願ってお祝いする――それが傘寿の祝いの真髄なのです。

まとめ

80歳の傘寿は、その漢字「傘」に隠された「八十」という秘密から名付けられた、とても縁起の良い長寿祝いです。古くから伝わる長寿祝いの歴史を背景に、現代でも家族の絆を深める大切な行事として受け継がれています。他の長寿祝いと比べてもユニークな由来を持ち、黄色のちゃんちゃんこなど華やかな風習でお祝いされる傘寿。ぜひ身近な方が80歳を迎える際には、由来や意味を知った上で心温まる傘寿祝いをしてみてはいかがでしょうか。